こどもの歯について~小児歯科

よく小児歯科という言葉を聞きますが、一般歯科とは違うのでしょうか?

小児歯科と一般歯科の違い

子供から大人になるときに、乳歯は永久歯に生え変わります。
永久歯と乳歯の大きさは、ぜんぜん違います。
永久歯がきちんと並ぶためには、そのためのスペースが必要です。

よく噛む食生活をしていれば、あごが成長して(噛む刺激であごが成長します)並びきるのですが、並びきらずにデコボコの歯並びになることもあります。

また、乳歯は生え変わるから虫歯になっても大丈夫だろうと考えがちですが、違います。
虫歯があると、生えてきた乳歯がすぐに虫歯になってしまいます。
進んだ乳歯の虫歯があると、それを永久歯が「異物」と捉えて虫歯の乳歯を避けて生えてくる、つまりまっすぐ生えてこないことや、永久歯が虫歯になって生えてくることもあるのです。

子供の歯をなるべく虫歯にしないようにする事、もし虫歯になったとしてもキチンと治療することが大人の歯を守ることにもなります。
大人の歯も、清潔に保てれば身体の健康を維持できる秘訣になります。

将来を見据えた治療が、小児歯科には必要なのです。

お子様の治療の進め方

このように小児歯科の治療は進めます。

STEP1. まず口の中を見て、診断する

まず視診をし、必要な場合レントゲンを撮って治療計画を立てます。
保護者といらっしゃったお子様は、保護者の方にお口の状態も説明します。
まずお口の状態を共有して、治療の進め方をお話します。
歯医者さんが苦手なお子さまも、ご安心ください。
当院のスタッフが優しく接します。
治療の際にお子様が治療されているのを見たい、そばで見守っていたいというお父様お母様はそばで見てあげてください。
当院では歯科のユニット(診療台)のそばにイスがあり、そこでお子様の治療をみたり励ましたりするお父様お母様も多くいらっしゃいます。

STEP2. 治療スタート!

歯医者さんが嫌いにならないよう、少しずつ無理なく治療を進めます。
分からないこと、心配なことがありましたら、遠慮なくどんどんご質問ください。
分からないことを分かるにするだけでも、スムースに治療が進みます。

STEP3. 予防のための「歯医者さん通い」

治療が終わったら、次のステップは虫歯にならないための定期的な歯医者さん通いをお勧めします。
もし虫歯が出来ても早く見つかるので、麻酔なしで痛くない虫歯治療ができます。
お子様の場合、虫歯が出来ると進行が早いので、3ヶ月に1回の受診をお勧めします。

予防って何をするの?

「予防歯科って、具体的には何をするの?」
こんなことをします!

1.フッ素塗布

フッ素は、自然に存在している「歯を強くする物質」です。
虫歯菌の出す「酸」に強くなり、「再石灰化」を促すことで「虫歯予防」になります。
乳歯や、生えたての永久歯は、エナメル質(派の一番外側)がやわらかく、虫歯になりやすいのです。
定期的にフッ素を塗ることで、虫歯になりづらい歯になります。

2.シーラント

シーラントとは、磨き残して虫歯になりやすい臼歯に、レジン(白い歯科用材料)を使って埋めて、歯磨きの負担を軽くする処置です。
六歳臼歯などに処置します。

3.生活習慣のご提案

子供は甘いものが大好きです。
でも、子供が欲しがるままに与えれば、虫歯になりやすくなります。
甘いものは「食べてはいけない」のではなく、「食べ方に気をつける」ことが大事です。

では、具体的には、どうしたらいいのでしょうか?

A. 食べる時間を決める

常に食べ物が口の中にあると、口の中が「酸性」になります。
口の中は通常「中性」ですが、飲食することで「酸性」になり、歯が溶け出します。
でも、通常は唾液(だえき)が酸を中和して、中性に戻します。
つまり、飲食しない時間を作ることが、中性の時間を長くするコツです。

B.甘いものを「食べ過ぎない」

甘いものは口の中を「酸性」にして、歯を溶かします。
食べてはいけないのではなく、量を決めて食べ過ぎないようにします。
甘いものの種類によって異なるので、具体的な量は決められないと思います。
一緒に相談していきましょう。

C.「正しい歯磨き」を行う

実は、大人でも正しくブラッシングできる人は少ないのです。
正しい歯磨きの仕方を子供のうちに学べれば、大人になっても鬼に金棒です!

D.よく噛んで食べる

よく噛むことで「唾液」がいっぱい出て、口の中を中性にします。
いいことはそれだけではありません。
よく噛むことで、アゴの骨を刺激し成長が促され、永久歯の並ぶスペースを作れます。
噛む事の効用がわかりやすく説明されている「ひみこの歯がいーぜ」をぜひご参照ください。
※下記画像をクリックすると、別ウインドウで拡大します。

E.歯医者さんに定期的に来る

自分で歯磨きをしても、5割しか汚れが取れないと言われています。
そして、自分で見られる歯の範囲はとても限定されますし、細かいところまで見えません。
定期的に検診して歯をお掃除すれば、虫歯も早いうちに見つかり、痛くない治療で終わります。

親子で学んでほしい、歯を守ることの大切さ

子供の歯を守ることが大事だということは、まず親御さんが理由も含め理解いただいたくことが大事です。
ただ言われたことをするのではなく、これこれこういう理由だから、歯を大事にすることが必要と分かれば、納得して、定期的に通院するなどの行動に移せるからです。

例えば「感染の窓」と言う言葉があります。
実は、1歳7か月~2歳7か月の時期に「虫歯になりにくい」か「なりやすいか」が決まるのです。
この時期に、虫歯菌がお口に住み着かなければ、大人になっても虫歯になりにくい細菌叢(さいきんそう:フローラ)になるのです。

子供の歯を虫歯させたい親なんていません。
知っているから出来ることもいっぱいあります。
もっともっと知っていただきたいことがあります。

分からないこと、心配事、お子さんのこともご自身のこともぜひお尋ね下さい。